初めて告白された日の夕焼け

幼少期から中学までは、恋愛に関してとにかく奥手で、全て片思いで終わっていました。

そんな内気な時期を経て入学した高校で、ある文化系クラブに所属しました。入部したての頃は、2つ上の綺麗な女子の先輩と、やんちゃそうな同じく2つ上の男子の先輩がそれぞれ一人ずつという、とても少人数なクラブ。

 

その後、体験入部期間が終わってから、追加の入部希望があったようで、同学年の女子が6名入ってきました。

 

高校生ってことで、2つ上の女子の先輩へのあこがれがありましたので、後で入ってきた女子たちは軽くあしらう程度で、彼女たちには「まーたそうやってひどい扱いー。もー!」とたびたびバシバシと叩かれてましたw 文化部ということで、9月には文化祭でのクラブ発表があります。

 

 

そのため、夏休みは週3日から4日、学校に通い、文化祭の準備に明け暮れていました。 そのうち、先ほど書いた同級生女子6名のうち、2人とよく行動を共にします。

 

同じチームになって準備を進めたり、クラブが終わった後には近くのショッピングモールをぶらぶらしたり。同じクラブかつ同じチームだからというのもありましたが、なんとなくその2人と出かけるのが楽しいと思い始めていました。

 

気兼ねなくバカできるし、僕もほぼ女子と思ってなかったのもあってw冗談めかしながらも、容赦なくきつい言葉なんかを投げかけてましたw そんな忙しくクラブに打ち込む夏休みが過ぎ、無事に文化祭でのクラブ発表も終了。

 

次の日に部員みんなでお疲れさま会をしました。

顧問の先生が「今日だけだからな!」と、ジュースや軽食を部室のテーブルに並べて振る舞ってくれました。 最初はランダムにみんなと喋っていたんですが、自然と同じチームで数ヶ月一緒に準備をしてきた女子2人と同じテーブルに。苦労話もそこそこに、いつも通りのふざけた感じになっていきます。

 

2人も大笑いしながら、会は終了しました。

時間も早かったのもあって、その後、その2人に「もうちょっとお疲れ会しよーよ!」と言われ、二つ返事で快諾。夏休みによく行ってた近くのショッピングモールのフードコートでやろうということに。「あたしたち、他のメンバーにちょっとだけ用事あるから、下駄箱の所で待ってて」とのことだったので、先に行って待っていました。20分、30分ほど経った頃、2人のうち1人だけが下駄箱に到着。

 

「なんか彼女、忘れ物して一回教室に帰るから、先に2人で行ってて、だって」 「あー、そうなの。んじゃ行こっか」 というやり取りをして、2人で歩いて出発しました。聞くと、彼女もあと10分もすれば合流するとのこと。

 

ショッピングモールまではおよそ15分。2人のうち、一緒に歩いているその子はすごく喋るタイプで、気が強く、明るい性格でした。

 

もう一人は大人しめで、どちらかというと控えめないわゆる撫子タイプ。

 

実は、僕はその撫子タイプの子が好きで、一緒のチームを提案したっていう魂胆もありました。「文化祭が終わったら告白しようって思ってるんだよね」と、その気の強い彼女に言ってたりしていたんです。

 

そして、3人でのお疲れさま会。

これはチャンスだ!と思いました。 それは、夏休み中からしていた話だったのもあり、当然話題はそれになりました。 「もう言うの?」 「そのつもりだよ。結構ドキドキしてるw」 「マジでw(僕の胸に手を当てて)マジだww動悸息切れレベルじゃんw」 などとからかわれながら、いつも通りの道のりを歩いていました。 僕たちは普段、ほぼ間髪入れずに会話してるのもあって、その日もそうでした。

 

でも、ショッピングモールまであと5分くらいのところで、なぜか会話が途切れ途切れに。 「おいおい、こんないつもの道でお疲れかー?w」 とチャチャを入れると 「うるさいなー、あたしだってちょっとドキドキしてるんだしw」 「おう、心配してくれてんの?いやー、うまくいくといいなぁ」 「…うん。そうだよねー…」「…」 ショッピングモール前の交差点まであと50mくらいのところで、独特の沈黙になりました。 「おい、大丈夫かー?ホントに疲れてるんじゃないの?今日やめとこっか」 「…ううん、大丈夫だし。いけるよ、いける」 「あ、そう?それならまあ…」 「あのさ!」 「どーした?」 彼女が少し息を吸って言った。 「でも、あたしはあなたが好き。」 「え…」 多分、その後につたないながら何かしら喋ったと思う。そこは覚えていない。

 

あの秋の放課後の風景に映えるオレンジだけは、はっきりと覚えているのだが。 どのくらい彼女が苦しみながら僕と接していたんだろう、僕はなんて無神経なことを言ってしまってたんだろう。

 

そして、この15分の道のり、彼女は僕よりももっともっと悩んでいたんだろうか。

 

やがて、あの日、僕の隣にいてくれて、好きと言ってくれた彼女と付き合うこととなる。初めて告白されるという経験をした高1の秋の話でした。